相続税とは
亡くなった人の遺産を受け継いだときに課されるのが相続税です。
相続税には基礎控除(5000万円+1000万円×法定相続人数 相続人が3人いれば8000万円)がありますので、実際に相続税が課されるのは亡くなった方々の約5%ほどです。
税率は10%から50%まであり、基礎控除後の法定相続分が3億円を超えていると最大税率50%が適用されます。
贈与税とは
相続税を払いたくなければ、生きている間に自分の財産を親族等にあげてしまえばいいのですが、そのような課税逃れを防ぐために、生前の贈与にかかる税金として贈与税があります。
通常の贈与税(暦年課税)は基礎控除が110万円あり、税率は相続税と同じく10%から50%までですが、基礎控除後の贈与財産が1000万円を超えていると最大税率50%が適用されるなど、相続税に比べて税負担が大きくなっています。
そのため贈与時に税負担を抑えて、相続時に生前贈与された財産と遺産を合わせて相続税額を計算する相続時精算課税という相続贈与一体型の課税制度があります。
相続時精算課税は65歳以上の親から、20歳以上の子供に対して2500万円までは非課税で贈与ができる制度です。この制度を選択するには届出や申告が必要であり、一度選択するとその後贈与された財産はすべて精算課税対象額として累積計算されます。
累積贈与財産が2500万円を超えた場合は、超えた額の一律20%を前払いの相続税として納めなければならず、相続発生時に遺産と贈与財産を合算して相続税額を精算します。
相続税の対策は
バブル経済のころは地価が高騰していたため借入金で土地を購入したり、賃貸アパートを建てて財産の評価額を下げていましたが、過剰な投資は納税資金の不足を招きます。
また税法は毎年改正が行われるため、いつ起こるか予測できない相続に備えて対策を図っても、現在大きな効果が期待できるのに、税制改正や通達改正によりその効果が大きく損なわれることが多々あります。
そのため節税だけを重視した対策は賢明ではありません。自身の今後の生活やどの財産を誰に相続させるかを考慮し、現状を正しく把握することが大事です。
しかし日本の資産家と呼ばれる方々の多くはその財産を不動産が占めており、現預金や有価証券等、相続税の支払原資になりにくいのが実情です。
そのため少しでも相続税の負担を軽くしておかなければなりません。
生前贈与(暦年課税)の活用
暦年贈与は即効性はありませんが着実にその効果を累積できます。ただし相続人に対してなされた贈与のうち、亡くなる前の3年内の贈与は相続財産に含めて計算されます。
そこでポイントは
法定相続人以外(子供の配偶者や孫)に贈与すること
相続人以外であれば亡くなる直前の贈与でも相続財産に加算されません。
年初に贈与すること
贈与税の申告は1月1日から12月31日までの一年間を翌年に申告します。そのためいつ贈与しても贈与税は同じですが、相続財産に加算する3年内の贈与に引っかからないよう早めに行えば相続税額は少なく済みます。
110万円の基礎控除額にこだわらない
相続が発生した場合、税率が高率ならば基礎控除の枠内で贈与するのではなく、多少の贈与税がかかっても財産移転を急ぐべきです。相続税率が50%かかるのであれば税率20%で贈与すると30%税金が少なくて済みます。
配偶者へ居住用不動産を贈与する
婚姻期間が20年を超える夫婦であれば夫から妻へ居住用不動産を贈与した場合、110万円の基礎控除のほか、最大2000万円まで贈与税はかかりません。またこの特例を受けた贈与財産は亡くなる直前であっても相続財産に加算されないことになっています。
相続時精算課税の活用
相続時精算課税は亡くなる前に多額の財産を前渡しすることができるので若い世代が財産をより有効に活用することができます。ただし相続税は贈与時の価額で相続財産に加算し再計算されます。
そこでポイントは
価値が上がるものを贈与する
価値が下がるものであれば相続時の時価は安いのに贈与時の高い価額で税金が計算されてしまいます。予測するのは難しいですが、土地や有価証券などで価値が上がるものを贈与しましょう。
亡くなった時に相続税が発生しないようにする
贈与されたときに一番使い勝手がいいのは現金です。そこで多額の現金を生前贈与され費消してしまった場合、相続財産は不動産ばかりで相続税の納税資金が不足することがあります。
亡くなった時に税金が発生しないよう相続税の基礎控除の枠に収まる財産であるのが理想的です。
同族会社の活用
会社経営をされて財産を築かれた場合や個人事業を法人化した場合、その会社を使い相続対策をとることが可能です。
そのためには法人が取引を行ったり事前に準備が必要となってきます。
そこでポイントは
価値が上がりそうな資産は会社が所有する
個人で直接資産を保有している場合、その含み益(値上がり益)も含めて相続財産とされます。
しかし会社を介して間接的に所有している場合、その含み益に対して42%の控除がなされた後の価額で相続税が計算されますので、その分相続税負担が少なく済みます。
また不動産を直接所有していた場合、個人から個人へ移転登記が必要となりますので登録免許税や不動産取得税が課税されます。
間接所有(会社が所有)していれば、その会社の株主名義を変更するだけで済みます。
会社で生命保険に加入する
個人で生命保険に加入していても納税資金には役立ちますが、会社で保険に加入していれば、亡くなった時に会社が保険金を受取り、そのまま退職金や弔慰金として遺族に支払えばさらに納税資金の原資となります。
遺族にとって退職金には保険金同様、法定相続人数×500万円の非課税枠がありますし、弔慰金も業務外の理由で亡くなった場合、給与半年分は非課税です。
会社に対する貸付金があれば放棄する
経営している会社が赤字で資金繰りもよくない場合、経営者が多額の貸付をしていることがよくあります。
このような状態で経営者が亡くなると貸付金すべてが相続財産となります。
回収の見込みがないのであれば税務上の繰越欠損金の範囲内で生前に債権放棄し、不要な財産を減らすようにしましょう。