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節税の種類と考え方

2014年 3月 30日
節税

節税とは

一般的に税金を少なくすることが節税と言われますが、50の税金を払わなくするために、100の不要な経費を使っていては本末転倒です。

もちろん中には税金の使われ方が気に入らず、少しでも税金を払いたくない、国に納めるくらいなら無駄遣いした方がましだという人もいますが、その場合は単純に儲けなければいいでしょう。

ただし行き過ぎた節税は利益を減少させ、会社の財務体質を弱めます。会社というのはお金があればつぶれないものですから、納税額や利益にとらわれずキャッシュフローを重視した節税を考えましょう。

節税の種類

節税には4種類あり、「お金を使う」「お金を使わない」というキャッシュフローを重視した区分と、「税金を払わない」「税金の支払を先送りする」という納税額を重視した区分をそれぞれ組み合わせた節税対策があります。

お金を使わない節税

過去に購入した資産等を処分することにより、新たに現金支出を伴わない節税です。
売却等により逆に現金収入があることから財務体質を強化する節税といえます。

回収不能の売掛金を貸倒処理する、値下がりしている有価証券や不動産を売却し含み損を実現させる、不良在庫を処分する、などが代表的なお金を使わない節税です。

お金を使う節税

税金の支払を減らすために、現金支出を伴う節税です。
納税額以上に現金を使うことがあるため本当に必要な物品購入や契約締結のみ行うようにしましょう。

中古資産の購入、一年以内に役務の提供を受ける短期前払費用の活用、などが代表的なお金を使う節税です。

税金を払わなくてもよい節税

税金を一部免除されることにより、その免除分は今後半永久的に支払わなくてもよい節税です。その時々の経済情勢に応じて時限的に施行されることが多く、申告書に記載することが条件です。

機械装置等を購入したことによる税額控除などが代表的な税金を払わなくてもよい節税です。

税金の支払を先送りする節税

経費の計上を前倒しすることにより、税金の支払を来期以降に先送りする節税です。
長い期間で考えると税負担は変わらないのですが、現在のキャッシュフローが良くなるので会社の体力をつけることが可能になります。

未払費用の計上、特に給与(給与締日から決算日までの分)、労働保険(3回分納を選択しても申告書提出時に全額経費計上)、社会保険料(翌月支払分が決算月の分であればその会社負担額)、固定資産税、支払利息などの未払計上、固定資産の特別償却、などが代表的な税金の支払を先送りする節税です。

節税の考え方

節税を考えるときには会社の計算書類を見て対策を練りますが、まず損益計算書を見て収入を減らす(売上の計上基準を変更する等)、費用を増やす(必要な消耗品の購入等)ことが基本となります。

そして損益計算書を見て思い浮かばなければ、貸借対照表を見て資産を減らす(含み損のある資産の売却、仮払金の精算等)、負債を増やす(未払費用の計上、前受金の増加等)ことを考えるというように目線を変えてみてください。
そのため常に月次決算を組み、経営状態を把握しておくがことが不可欠となります。

節税は全体で考える

たとえば同族会社なら法人と経営者を一体で考えるべきでしょう。

高額の役員報酬を支払うと会社の法人税は少なくなりますが、経営者個人の所得税は増えてしまいます。一方だけの税額を見るのではなくバランスを考えて、全体の税負担が少なくなるようにしましょう。

法人と個人を一体と考えた場合の有効な節税策として小規模企業共済の活用があります。
小規模企業共済とは規模が小さい会社の役員退職金共済で、役員個人が加入します。

会社は共済の掛金相当分を役員報酬に上乗せし、経費を増やすことにより法人税が少なくなります。
逆に個人の役員報酬は増加しますが、共済の掛金は全額が所得金額から控除されるため、個人には役員報酬増額による所得税の負担増はありません。

また個人でも同居家族全体の税負担額で考えるべきでしょう。
たとえば確定申告で医療費控除を受ける時は、みんなの医療費を家族で一番収入の多い(税率が高い)人が負担し、まとめて申告すればより多くの税金が返ってきます。
その他にも70歳以上の妻を夫の扶養に入れていると、「老人控除対象配偶者」として48万円の控除が受けられるだけですが、同居している子供の扶養に入れば「同居老親等」として58万円の控除が受けられます。

このように一方から見た納税額だけでなく、全体で見た納税負担額で判断しましょう。