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税務調査の心得

2014年 3月 25日
税務調査

対象となる会社

税務調査税務調査の対象となる会社はすべての企業です。
たとえ赤字続きの会社であっても調査に入ることはあります。
これは税務署員にとって調査の結果税金が取れなくても、繰越欠損金を減らすことができれば評価されるからです。

ただし各税務署員の担当会社件数は200~300件と多く、すべての会社を調査することは物理的に不可能な状態です。
そのため調査の周期が短い要注意会社で3年ごと、通常の会社で5年~7年ごと、なかには10年以上調査が来ない会社もあり、担当税務署員や地域、業種によりさまざまです。

しかし過去に大きな売上計上漏れや経費の架空計上をしたことがある、前回の調査内容が著しく悪かった、重加算税を課されたことがある、脱税の多い業種である、各年の所得にムラがある、好況な業界である等に該当すると税務調査の対象になりやすいでしょう。

 調査の時期

税務調査は通常秋がピークになりますが、個人の確定申告で忙しい2月や3月にも調査を行います。これは税務署員の異動が7月に行われるのですが、その査定は4月までの働きを基に評価されるため、3月でも税務調査をするのです。

逆に異動前後の6月や7月にはほとんど調査は行われません。

 調査の仕方

税務調査税務署員は1週間に1件のペースで調査することを目標にしています。
そのため現況調査(実際に会社に来て行う調査)の前に税務署内で、提出された会社の決算書を3期ほど比較し各科目ごとの推移を見ます。

交際費が増加している、粗利が減少している、売上が増加していないのに人件費が増加している等、著しく増減した科目を調べたり同業他社と数字を比較し、調査する項目を絞って来ます。

また各会社から提出された申告書や資料せん、法定調書のほかに、テレビや雑誌、新聞記事やホームページなども資料として活用しています。

調査前の心得

いきなり税務署が会社へ調査に来ることがありますが、通常は事前に調査をしたい旨の連絡があります。
そのため調査日までに以下のような準備をしておきましょう。

前回の調査内容を確認する

税務署には前回の調査の内容が資料として保存されています。
そして前回指摘した事項が改善されているかは必ず次の調査でチェックしますので、前回の調査内容の確認を行いましょう。

書類等を整理し、受入れ準備をする

伝票、請求書、領収書の整理
契約書、議事録の確認
給与台帳、源泉徴収簿、タイムカードの確認
金庫、ロッカー、机の引出し等の整理

特に、「付箋が貼ってある」「鉛筆などで書込みがしてある」「メモ用紙がはさんである」などがないかチェックしましょう。またパソコンの中身もチェックされることがありますので、不要なデータは消去するなり他へ移すなりしましょう。

顧問税理士に連絡する

税理士には日頃から税務処理について相談をしているでしょうが、調査に先立ち会社の方から気になるところがあればその内容を伝え、指摘された場合の対応を一緒に考えてもらいましょう。

リハーサルなどは必要ないでしょうが、当日は税理士も立会いますし、事前に対策を練る事ができれば安心して調査に臨めます。

調査中の心得

調査中は平常心で堂々としていればいいのですが、やはり税務署から疑われているような気がして緊張するものです。
いらぬ疑いをかけられたり、不利益を被らないよう以下の点に注意しましょう

聞かれたことだけに答える

調査の最初は雑談をしたり会社の概要を聞くなどして、いきなり帳簿書類を調べたりはしません。
そこで調査官の相槌に乗せられて必要以上に喋ったり、雑談の時間を延ばそうと聞かれていない事まで話すのは控えるべきです。

会話の中から辻褄の合わないことや調査のヒントをつかむのが調査官の仕事です。

資料は一箇所に集めておく

書類等の資料をいろいろなところから引っ張り出せば、一緒にしまってある関係のない資料にまで調査官の目は行き、興味を持たれます。

もちろん任意調査ですから、引出しや金庫などは調査官が勝手に開けることはできませんし、個人的なものなど見せたくない書類は開示を拒むことは可能ですが、必要以上に詮索されないよう資料は一箇所に用意しておきましょう。

仕事に支障をきたすようなことは伝える

税務調査通常の会社での調査の他に反面調査という取引の相手先を調べる調査方法があります。これは調査している会社の言い分だけでは取引全体が把握できない場合、その相手方に問い合わせたりして取引内容を正しく掴む方法です。

この反面調査をされると、相手方に税務調査が入っていることが分かり、また納税や書類の管理がだらしない会社だと誤解されかねません。

今後の仕事に支障をきたすと思われる場合は、必ず調査官に反面調査を控えてもらうよう主張しましょう。

調査後の心得

税務調査の後、調査官より指摘事項が伝えられます。
調査官に具体的な追徴税額のノルマというのはありませんが、昇進に影響するため実質的にはノルマがあるようなものです。だからといってお土産(指摘されるようわざと間違えておくこと)を作っておく必要はありませんが、指摘事項をどれだけ受入れるかは重要です。

 認めてもいい指摘事項

税務調査の終了として理想的なのは、指摘事項が全くないこと、または修正申告するまでもないミスで、今後気をつけるよう指導を受けることです。
しかしそのようなことは稀で、やはり何らかの修正を求められることがほとんどです。その場合、指摘事項のなかでも期間損益の誤りを認めるようにしましょう。

期間損益とは、売上や経費の計上時期を誤り利益が少なくなっていた、棚卸しを少なく計上してしまっていた等で、その期は納税するが次期にはその分税金が安くなる誤りです。

認めない方がいい指摘事項

次期以降に税金が取り戻せない項目は、指摘されてもできるだけ受入れないようにしましょう。

たとえばある経費を交際費や寄付金、役員賞与とされて税務上の経費に認められないというのは、その期に税負担が増えるのみで、その分の税金を次期に取り戻すことはできません。
また家族に対する役員報酬が高額で認めない等のように、次期以降ずっと経費として計上できず、税負担が増えるままになるような指摘事項はできるだけ認めないようにしましょう。

納得できなければ妥協しない

税務調査修正申告書を提出するということは会社が誤りを認めたという事です。
そのため指摘事項に納得がいかないのであれば、修正申告をせず税務署に更正処分(税務署が正しいと判断した税額を決めること)をしてもらいましょう。

どうしても納得がいかなければ不服申立や裁判等で争うことになります。
調査において会社が誤っているかどうか、指摘事項が正しいのかという挙証責任は税務署にありますから自信のある主張は堂々としましょう。